
11月の二十四節気と七十二候について、ご案内いたします。
あなたは 天気予報などで、「暦では冬になりました」と、聞かれたことはないでしょうか。
この表現は、「旧暦」においては 冬を迎えたからで、木枯らし一号が観測されるのが、この時期です。
本ページは、旧暦を意識した表記になっております。新暦と旧暦は、おおよそ一月ほどズレがありますので、文中、違和感を覚えられるかもしれませんが、11月は 実際は10月の気候と思ってお読みになってみてください。
このページで、本来の自然の動き・流れを感じていただけましたら幸いです。
11月の二十四節気と七十二候(旧暦10月)
11月の 二十四節気と、七十二候を、ご紹介いたします。
時系列にご案内いたしますので、それぞれ混合しております。

◎ 二十四節気 ( )七十二候
二十四節気「立冬(りっとう)」 (新暦11月7日頃)
暦では、この日から冬となります。
第五十五候「山茶始開(つばきはじめてひらく)」 (新暦11月7日~11月11日頃)

山茶花(さざんか)が咲き始める時期です。
「山茶(さんさ)」は、椿(つばき)の漢名です。
そのため、第五十五候の「山茶始咲」も、つばきと読ませています。
第五十六候「地始凍(ちはじめてこおる)」 (新暦11月12日~11月16日頃)

大地が凍り始める時期です。
第五十七候「金盞香(きんせんかさく)」 (新暦11月17日~11月21日頃)

水仙が咲く時期です。
第五十七候「金盞香」の金盞は、水仙をさしているようです。
水仙はいろいろな品種があり、早咲きのものは11月頃から咲き始めます。
なお 水仙は、「金盞銀台」とも呼ばれおり、「金盞」は 金の盃をさしています。
水仙の黄色い部分を金の盃に、そして花びらを銀の台に見立てたというわけですね。
二十四節気「小雪(しょうせつ)」 (新暦11月22日頃)

雨が雪に変わる時期です。
北国や山岳地帯では、この頃、雪が見られるようになります。
第五十八候「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」 (新暦11月22日~11月26日頃)
虹を見かけなくなる時期です。
小雪を迎えると、雨が少なくなるので(雨が雪に変わるので)、虹が見えなくなるというということですね。
第五十九候「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」 (新暦11月27日~12月1日頃)

北風が木の葉を散らす時期です。
第六十候「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」 (新暦12月2日~12月6日頃)

橘の実が、黄色く色づく時期です。
11月(旧暦10月)の季節を感じる
この章では、11月頃の動植物、食べ物、行事などを、ご紹介いたします。
旧暦10月の 季節を感じてみてくださいね。
木枯らし(こがらし)

気象庁による木枯らしの定義は、10月後半から11月末までの間に吹く、北寄りの強い風なのだそうです。
小春(こはる)

冬の初めの、春を思わせるような 暖かい気候を「小春」と言います。
小春は、旧暦10月頃に多いので、旧暦10月の異名にもなっています。
小春を使った言葉を、幾つかご紹介いたします。
| 小春日和 | 穏やかで、ぽかぽか暖かい天気 |
| 小春風 | この時期吹く、春を思わせる風 |
| 小春空 | 穏やかに晴れた空 |
ししゃも

11月のこの時期、回遊魚のししゃもは 群れをなして川をさかのぼり、産卵します。
この時の卵がいっぱい詰まったメスが、「子持ちししゃも」です。
なお、ししゃもは、漢字で「柳葉魚」と書きますが、アイヌ語からきていると言われています。
アイヌ語の柳(スス)と葉(ハム)が変化して、「ししゃも」となったのだそうで、アイヌの伝説によりますと、散りゆく柳の葉を神様が憐れんで、魚に変えたのだと言われています。
榎茸(えのきだけ)

野生の榎茸(えのきだけ)は、晩秋から初冬にかけて生え始めるのだそうです。
店先で販売されているものは、白いものが多いですが、本来の姿は茶色く、傘も5センチほど大きくなるものもあり、風味がとても良いそうです。
霜柱(しもばしら)

第五十六候「地始凍」にありますように、寒くなると霜柱が立つようになります。
千歳飴(ちとせあめ)

七五三は、古くからある儀式です。
三歳で剃っていた髪を伸ばす「髪置」、男子が五歳で初めて袴をはく「袴着」、女子が七歳で帯を使用し始める「帯解」がひとつになった行事です。
七五三は現在、11月15日に統一されていますが、これは陰陽道で最上の吉日であるということと、五代将軍 徳川綱吉の子・徳松のお祝いを行ったからだと言われています。
七五三の千歳飴は、子どもがいつまでも無事に育つことを願い、作られたと言われています。
昔は、子どもが短い生涯を終わらせることも 少なくない時代でした。
千歳飴は、子どもの成長を祈る「千歳の願い」が込められた飴なのです。
石蕗(つわぶき)

立冬を迎えますと、植物が枯れ始め 寂しい景色になりますが、この時期から黄色い花を咲かせる植物があります。
それは、蕗に似た葉をもつ 石蕗(つわぶき)です。
もともとは、崖や海岸の岩場に自生していたと言われています。
石蕗は、初冬を楽しませてくれる花ですので、見つけてみてくださいね。
白菜(はくさい)

この時期からの白菜は、寒風にあたって みずから糖をつくります。
そのため、とても甘くなりますので、ぜひご賞味ください。
白虹(はっこう)
第五十八候「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」は、虹が見えなくなるという意味です。
二十四節気「小雪」を迎えますと、雨が雪に変わり、雨が少なくなるので虹が見えなくなるということですね。
なお、この時期は 虹がまったく見れなくなるというわけではありません。
夏に降る大粒の雨ではない 霧のような雨が降ると、虹は白くぼんやり見える「白虹」が出るのだそうです。
その名前にちなんで、霧虹(きりにじ)とも呼ばれます。
新嘗祭(にいなめさい)

新嘗(にいなめ)は、新の饗(にいのあえ)という ごちそうをもてなすことが変化した言葉で、天皇が新穀を神に供えて、自らも食する儀式です。
新嘗祭は、太陽暦が採用されてからは、11月23日に決められて、今でも宮中や神社で行われています。
なお、11月23日は、昭和23年以降、「勤労感謝の日」として、国民の祝日になっています。
鱈(たら)

鱈(たら)は、初雪が降る頃に獲れるといわれている魚で、この字は日本人が考えた国字なのだそうです。
その昔、武家では切ってもあまり血が出ない縁起の良い魚とされていたそうです。
まとめ

11月の二十四節気と七十二候について、ご案内いたしました。
このページで、旧暦10月の 本来の自然の動き・流れを感じていただけましたら幸いです。
[参考文献]

