トウモロコシとインゲンを一緒に育てる伝承農法を、ご紹介いたします。
異なる科の野菜を混植する方法は、現在 コンパニオンプランツ栽培などと呼ばれておりますが、このような育て方は昔から農家さんが行っていたもので、野菜の特性を活かした栽培です。
トウモロコシとインゲンの混植は、どちらも旺盛に生長すると言われていますので、ご参考にしていただければ幸いです。
トウモロコシとインゲンの混植
野菜の特性を活かした伝承農法
トウモロコシとインゲンの混植は、草丈が高くなるトウモロコシと、つる性のインゲンの性質を利用した伝承農法です。
トウモロコシについて
トウモロコシは、「肥料食い」と言われるほど、養分を欲する野菜です。
そのため、栽培中に幾度か追肥を行いますが、株元にインゲンを育てることにより、トウモロコシの生長を促進させることができます。
なぜなら、マメ科であるインゲンの根には根粒菌が共生し、窒素の固定を行い、土が肥沃になるからです。
トウモロコシは、インゲンの根の根粒菌から作られる養分を吸収し、生育が促進します。
インゲンについて
農学博士の木嶋利男さんによりますと、インゲンをはじめとするマメ類は、単独で種をまくよりも、先に育っている作物の株元に種をまいたり、ほかの作物の種と一緒に混ぜてまきますと、発芽率が高くなるのだそうです。
豆類の種はタンパク質や脂質を多く含んでいますので、保存の状態によっては種の劣化が進み、発芽率が下がってしまいます。
そこで、トウモロコシの株元にインゲンの種をまいて、発芽率が高める方法が、今回ご紹介している混植です。
トウモロコシとインゲンの混植栽培のポイント
先にトウモロコシを育てます
まずトウモロコシから育てます。
トウモロコシは、3粒まく「多粒まき」を行い、間引いて1本立ちにして土寄せします。
そして、トウモロコシの草丈が30cm以上になりましたら、インゲンの種を3粒点まきします。
なお、インゲンの種まきを早い時期に行ってしまいますと、トウモロコシの生長より早くツルが伸びてしまいますので、種まきするタイミングに気を付けます。
インゲンのツルがのびてきましたら、トウモロコシに絡ませながら育てます。
連続してインゲンを栽培することも可能に
トウモロコシを収穫した後も、ひき続き インゲンの収穫を行うことが出来ます。
インゲンの株が古くなってきた場合は、反対側の株元に再度種をまき、2回、3回とインゲンを栽培し続けることも可能になります。
なお、トウモロコシの株が枯れて倒れそうになってきましたら、支柱を立ててインゲンを誘引します。
夏の乾燥に要注意
インゲンは、春に種をまき、夏の収穫が一般的ですが、品種によっては8月近くまで順次 種をまくことが可能で、秋まで収穫し続けることができます。
しかしながら、高温期の夏は雨が降らない乾燥した日が続くことがありますので、潅水が困難な畑などでの栽培は、工夫が必要になる場合があります。
まとめ
トウモロコシとインゲンの混植について、ご紹介いたしました。
この栽培は、昔の農家さんが行っていた トウモロコシとインゲンの特性を活かした伝承農法ですので、ご参考にしていただければ幸いです。
なお、一緒に育てた野菜を同じ料理に使いますと、とても美味しいです。
おためしになってみてくださいね。
[参考文献]
木嶋利男著「伝承農法を活かす 野菜の植えつけと種まきの裏ワザ」