【伝承農法】枝豆(ダイズ)の種の取り方と保存方法|固定種の枝豆をご紹介いたします

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枝豆の種の取り方と保存方法を、ご紹介いたします。

今年 美味しく栽培できた枝豆を、来年の種まき用に採種する方法です。

種を取る方法も、保存の仕方も とても簡単ですので、おためしになってみてください。

また、江戸時代から伝わる種の保存方法、そして、固定種の枝豆をご紹介いたしますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。

簡単!枝豆の種の取り方と保存方法

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固定種の枝豆で種を取ります

来年の種まき用に取る枝豆は、「固定種」のものにします。

固定種とは、おなじ形の性質のものが、代々受け継がれている品種のことで、味・形状が同じもの(固定されたもの)に育つ種のことをいいます。

一方で、人工的に交配して作られた種のことを、「F1品種」「交配種」などと呼びます。これらの種は、病害虫に強い遺伝子、美味しさを持っている遺伝子など、すぐれた部分を組み合わせて開発されています。

それでは、F1品種や交配種で実った枝豆から種を取りたいところですが、これらの種を翌年まいた場合、昨年と同じかたちや味になるとは限らず、旺盛に育つ場合と、その反対(劣性が出て生育不良)、違うかたちの豆になる場合があります。

その点 固定種は、長い年月を経て枝豆の性質を固定したもので、採種した種をまくと同じ性質の枝豆が育ちますので、固定種の種を取ることをおすすめいたします。

在来種について

在来種とは、昔から 日本各地で育てられている品種のことです。

東京江戸川区の小松菜、京都の京菜など、その土地の風土や気候に合った作物です。

固定種と在来種の違いをイメージでいうなら、固定種は 何代も栽培・播種を繰り返して作られたもの(固定されたもの)、在来種は地域性の高いものという感じでしょうか。

人為的に栽培と播種を繰り返しているという意味では、どちらも対極ではなく、近い関係であると考えます。

※ 固定種、在来種の定義は諸説あります

枝豆の種の取り方

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枝豆の種の取り方は、株を収穫しないで、畑に残したまま(刈り取らず)枯らします。

すると、株が茶色くなりカラカラに枯れてきますので、サヤから種(枝豆)を取り出します。

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枝豆の種の選別

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サヤから取り出した種を、状態のよいもの・悪いものに選別します。

丸くかたちが良いものを来年用の種とし、かたちの悪いもの、カビが付いていたり変色している種は除きます。

なお、昔の農家さんは、かたちの悪い種を田んぼにまいて、雑草防止用に使っていたと言われています。

枝豆の保存方法

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※ 実家の土蔵

昔農家さんが行っていた枝豆の種の保存方法は、土蔵などの雨が当たらない乾燥した涼しい場所に吊るしておいたそうです。

現代でも、この方法を行うことができますが、野菜室に保存するのが場所をとらず、お手軽かと思います。

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サヤから取り出した枝豆の種を、ファスナー付きの袋に入れて、蓋付きの缶に入れて野菜室で保存します。

乾燥剤を一緒に入れておきますと、保存性が高まります。

枝豆の種取りのメリット

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固定種の枝豆の中から、育ちが良く美味しいものを選んで何代も種取りしてゆきますと、あなたの畑の土や気候に合った種になってゆくと言われています。

何年も繰り返し播種して育てた枝豆は、品質が向上し、育てやすくなるそうですので、種取りをお楽しみになってください。

ご参考:伝承農法「種のとり方」

農業全書「種のとり方と保存方法」

私が野菜を栽培するさい、参考にしている「農業全書」に、種のとり方についての記載がありますので、その一部を抜粋して ご紹介いたします。

農業全書に書かれている種は、あわきびなどですが、応用できる保存方法だと考えます。

種子(たね)

五穀にかぎらず萬づの物たねをゑらぶ事肝要なり。

— 略 —

又粟黍などの類は其畠にてよく秀いで色よきをゑらびぬき穂にしてつり置くべし。物だねをおさめ置く所は土蔵をよしとす。

されども湯気にふれざる心得すべし。

— 略 —

又物だねをゑらぶ事、丸くより實り一色にして大小なくそろひたるものをおさめて、折々出し日風に當てをき蒔くべき前取出し、能く吟味して少しも損じたるをば必ずうゆべからず。

引用 宮崎安貞著「農業全書」(58頁 種子 第二)

農業全書(訳)

五穀に限らず、すべての作物について、種選びが肝心です。

粟や黍などの類は、その畑の中でもより優れて色の良いものを選び抜いて、穂のまま吊っておきなさい。

種をおさめておく場所は、土蔵が良いでしょう。

湿気に触れないよう、注意してください。

種を選ぶ時は、丸くよく実ったもの、色が変化しておらず統一したもの、大きさが揃っているものを揃え、時々取り出して太陽や風に当ててなさい。

(種を)撒く時には また取り出してよく吟味をし、少しでも傷んでいるものがあれば、植えてはいけません。

※ ベジルナ訳

ご参考:固定種の枝豆を販売している種苗店と、固定種の枝豆一覧

固定種の枝豆を販売している種苗店

固定種、伝統野菜の種を数多く取り扱っている種苗店をご紹介いたします。

ショップ ホームページアドレス
野口のタネ(野口種苗研究所) https://noguchiseed.com/hanbai/
つる新 種苗店 https://tane.jp/
たねの森 http://www.tanenomori.org/

固定種の枝豆一覧(例)

種の名称 特徴
極早生大莢枝豆 極早生種、粒は小さめ、実入り良好
ビアフレンド枝豆 早生・多収種、3粒莢率高い、食味良好
江戸緑枝豆 早生種、分岐数が多く実が大きい
サッポロミドリ 極早生種、3粒莢の割合が多く、味が極めて良い品種
とびきり枝豆 中早生種、3粒莢率高く美味しい。海外持ち出し禁止
早生白鳥枝豆 中早生種、耐暑性に優れ栽培しやすく、豆は甘く美味しい
湯あがり娘 中早生品種、茶豆風味で抜群に美味しい。
おつな姫枝豆 中早生種、甘味と風味に優れている。海外持ち出し禁止
越後ハニー 早生種、茶豆系枝豆の中では作りやすいタイプ、甘味が高く、生食や冷凍貯蔵に最適
快豆黒頭巾枝豆 中早生種、黒豆特有の甘味、草丈が低く作りやすい、家庭菜園にも向く
庄内1号枝豆 だだちゃ豆系で一番の早生種、粒は小ぶりだが甘さと香りのバランスが良い
庄内3号枝豆 中早生種、一般地で6月~播種、だだちゃ豆系、甘味のある美味しい品種
庄内5号枝豆 中晩生種、一般地で6月中旬まき、だだちゃ豆系、小ぶりの種ながら甘さと香りがよい
庄内7号枝豆 晩生種、一般の枝豆より小ぶりの粒だが甘さと香りのバランスが良い
黒平豆(雁喰物語) お正月の煮豆用として利用される黒豆、多収で美味しい中晩生の平型

まとめ

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※ 畑で枯れるの待っている枝豆です

枝豆の種の取り方と保存方法を、ご紹介いたしました。

種を取る方法も、保存の仕方も とても簡単ですので、ご参考にしていただきましたら幸いです。

[参考文献]

木嶋利男著「有機・無農薬のおいしい野菜づくり」Gakken

宮崎安貞著「農業全書」

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