イチゴのコンパニオンプランツは、ネギ類や花、ハーブなどがおすすめです。
単体でイチゴを育てるより、他の作物と混植することで、生育が促進したり、病害虫を防ぐ効果があると言われていますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
イチゴのコンパニオンプランツ|相性の良い組み合わせ一覧
農学者の木嶋利男博士が紹介されている、イチゴと相性の良い野菜を、ご案内いたします。
イチゴの コンパニオンプランツ |
期待できる効果 | 病気予防 | 害虫忌避 | 生育促進 | 空間利用 | |
野菜 |
ニンニク | イチゴの土壌病害の原因菌が減る | ○ | ○ | ○ | ○ |
長ネギ、ワケギ、葉ネギなど | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
花 ・ハ | ブ |
ペチュニアなど花期の長い品種 | 訪花昆虫を呼び集めて受粉させる | ○ | |||
ボリジ | 害虫アブラムシの天敵を呼び寄せる | ○ | ○ | |||
パクチー | タイ北部で、盛んに混植している | ○ |
イチゴのコンパニオンプランツの役割と栽培のポイント
ニンニク・長ネギ
イチゴの開花が早くなる効果
ニンニク
長ネギ
農学博士の木嶋利男さんによりますと、イチゴの近くにニンニクやネギを植え付けますと、ほどよい競合がおき、イチゴが刺激されて1~2週間ほど早く花が咲くことがあるのだそうです。
イチゴの花が通常より早く咲くということは、果実も早く結実することを意味しますので、収量が増えることにつながります。
イチゴの病気を予防する効果
ニンニクやネギの根には、抗生物質を出す微生物が共生します。
そのため、萎黄病や炭疽病、灰色かび病など、イチゴの病気を抑えられる効果があると言われています。
次期の苗づくりに有効
photo by AC
イチゴの病気を予防する働きがある ニンニクやネギをコンパニオンプランツにしますと、イチゴに付きやすいアブラムシが媒介するウイルス病にかかりづらくなりますので、次のシーズン用の苗を健康的に育てることが出来ます。
ニンニク・長ネギを使ったコンパニオンプランツ栽培のポイント
イチゴ | 長ネギ | ニンニク | |
植え付け時期 (一般地) |
9月中旬~10月下旬 | ||
植え付け方法 | 株間40cm | イチゴの根と長ネギの根を絡めて植える | イチゴの株間、もしくは条間に植えつける |
イチゴのコンパニオンプランツ栽培の裏ワザ
イチゴのコンパニオンプランツ栽培の裏ワザを、ご紹介いたします。
まず、イチゴとニンニクを一緒に育てます。
そして翌年、ニンニクを収穫した後、掘り上げたところにネギを移植しますと、病害虫の予防を継続して行うことができます。
ペチュニア・ボリジ・パクチー
訪花昆虫を呼び集める効果
ニンニクやネギが、イチゴの病気を予防する効果があるのに対し、ペチュニアやボリジなどは 訪花昆虫が集まりやすくなる効果があり、イチゴが受粉しやすくなります。
時おり見られる、いびつな形をしているイチゴは、雌しべに十分な花粉が付いていない受粉不良を起こしたと考えられます。
かたちの良い果実にするためには、筆や綿棒を使った人工授粉を行う方法もありますが、ミツバチなどの訪花昆虫が頻繁に飛来する環境にしてゆきたいですね。
ペチュニアとボリジがイチゴのコンパニオンプランツに有効な理由
ミツバチなどの訪花昆虫は、花が放つ香りと、花の色を目印に飛んでくるといわれています。
色鮮やかなペチュニアは、イチゴの花が咲く時期に次々と途切れることなく開花しますので、容易に訪花昆虫を呼び集めることができます。
photo by Flash Dantz
一方で、ボリジは イチゴに付きやすい害虫アブラムシの天敵「アブラバチ」を呼び寄せることができると言われています(画像はミツバチです)。
驚くべきことに、アブラムシに吸汁されたボリジは、シグナルを発してアブラバチを呼び寄せます。
ボリジに呼び寄せられたアブラバチは、アブラムシの体の中に卵を産みつけ、その後 卵からかえった幼虫が寄生します。
つまり、アブラバチに寄生されたアブラムシは最終的に死にますので、害虫の被害が減るという仕組みです。
なお、アブラバチはイチゴに付いたアブラムシにも寄生して卵を産み付けますので、ボリジはイチゴの用心棒的な存在となり、結果的にイチゴは害虫から守られることになります。
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こちらは、杉山農園さんのインスタグラムです。
アブラバチに寄生されたアムラムシがミイラ化して白くなっています(イチゴの葉が裏になっている画像の白いものがミイラ化したアブラムシです)。
草花であれば何でもOK
アリッサム
クリムソンクローバー
ビオラ
ミツバチなどの訪花昆虫を呼び寄せる植物は、ペチュニアやボリジに限らず、ご自宅の草花や鉢の花で代用することができます。
わが家は、冬季に育てていたビオラやアリッサムなどを、春になったらイチゴの畝に移植し、ペチュニアの代わりにしております。
また、秋に(9~10月頃)、クリムソンクローバーの種をまいておきますと、イチゴの開花とクローバーの開花が重なりますので、訪花昆虫を呼び寄せることが出来ます。
マメ科のクリムソンクローバーは一年草で管理がしやすく、土を肥沃にする効果があります。
また、春先はとても景観がよくなります。
テントウムシなどの益虫もやってきますので、個人的にオススメしたいコンパニオンプランツです。
パクチーも、心強いコンパニオンプランツ
木嶋博士によりますと、タイの北部では、イチゴとパクチーのコンパニオンプランツ栽培が行われているのだそうです。
春に種をまいたパクチーは、イチゴの花期に間に合いませんので、訪花昆虫を呼ぶことは出来ませんが、独特の香りでイチゴに付く害虫の忌避に役立ちます。
草花コンパニオンプランツ栽培のポイント
クリムソン クローバー |
ペチュニア | パクチー | ボリジ | |
種まき | 前年9月~10月頃、畝に沿ってばらまき。もしくは、畝にばらまきしてもOK。 | 苗がおすすめ(種まきは花の時期がイチゴの開花に間に合わないため) | 前年10~11月 | 3~4月 |
植え付け方法 | ― | ①イチゴの株と株の間に植え付ける。 ②畝の肩に植え付ける |
草丈が高くなるので、畝の肩もしくは間隔をあけて畝に植え付ける |
イチゴのコンパニオンプランツ栽培の裏ワザ
先にご紹介した花やパクチーなどのコンパニオンプランツは、地植えにせずとも 鉢をイチゴの株のそばに置いておく方法でも効果を発揮します。
また、その反対でも構いません。
こちらは、地植えのビオラのそばに、イチゴのプランターを置くケースです。
また、イチゴの株の生長を阻害しないよう気を付ければ、長ネギ、ニンニク、ペチュニア、ボリジ、パクチーのすべてを一緒に育てることも可能です。
とくに、ボリジは草丈が高くなりますので、畝の端に植え付るなど、位置を配慮してみてください。
イチゴのコンパニオンプランツ栽培を行った感想
2023年~2024年
2023年秋
※ イチゴとワケギのコンパニオンプランツ栽培です。イチゴの根とワケギの根を絡ませて一緒に植え付けるのが栽培のポイントです。
イチゴの代表的なコンパニオンプランツである「長ネギ」の苗を入手できなかったため、今年 初めてワケギと一緒に育てております。
ご存知かと思いますが、ワケギは球根から育てます。また、長ネギや葉ネギより葉が細く、草丈もさほど高くなりませんので、管理がしやすいと思いました。
種まきから苗になるまで長い時間を要するネギ類より、ワケギはお手軽ですので、お店で球根を見つけられましたら、お求めになってみてください。おすすめです。
2024年春
3月になり、イチゴの花が咲き始めました。
昨年の秋に植えた、イチゴのコンパニオンプランツ「わけぎ」も寒い冬を乗り越え、大きくなってきました。
5月になり、イチゴの実が色づき始めました。
ワケギと一緒に育てていたからでしょうか、イチゴの葉が健康的に大きく育ちました。
6月になりました。
イチゴの収穫はそろそろ終わりです。
ワケギと一緒に育てていたイチゴは、大きくきれいな葉になりました。
たっぷり光合成をして、子孫を残すためにたくさんランナーを伸ばしてほしいです。
先日、カマキリの赤ちゃんがイチゴの葉にのっていました。
七十二候の二十五候、「蟷螂生(かまきりしょうず)」は、まさにこの時期です。
イチゴと相性が良くない野菜・花・ハーブ類
・ローズマリー
・ニラ
ご参考:イチゴについて
イチゴの原産地
photo by O-DAN
野生のイチゴは、石器時代のころ(旧:200万年前~紀元前1万年前/新:紀元前8000年前~6000年前)から食べられていたと言われており、遺跡から種が出土しています。
今のようなイチゴは、約200年前の18世紀に オランダで 南アメリカ原産のチリ種と、北アメリカ原産のバージニア種が掛け合わされて、誕生しました。
イチゴの日本への伝来
※ image
日本にイチゴが伝来したのは江戸時代末期で、オランダ船で長崎に観賞用として入り、「オランダいちご」と呼ばれていました。
栽培用の品種は、明治時代の初期に アメリカから導入されましたが、定着することはなかったそうです。
しかし、日本の風土の中で選ばれて育成された品種「※福羽」は、実が大きく味がよく、世界に知られることになり、その後 70年間も活躍しました。
[参考サイト]
・農林水産省「いちごの原産地や歴史についておしえてください。」
まとめ
イチゴのコンパニオンプランツをご紹介いたしました。
単体でイチゴを育てるより 他の作物と混植することで、生育が促進したり、病害虫を防ぐ効果があると言われています。
花やハーブを一緒に育てますと、景観が良くなりますので、よりイチゴ栽培をお楽しみいただけると思います。
[参考文献]
木嶋利男著「決定版 コンパニオンプランツの野菜づくり (育ちがよくなる! 病害虫に強くなる! 植え合わせワザ88) 」
木嶋利男著「農薬・化学肥料に頼らない おいしい野菜づくりの裏ワザ」家の光協会
木嶋利男著「農薬に頼らない病虫害対策 (学研ムック 学研趣味の菜園)」
[画像提供]
phote by Kulipa Chimangeni (Unsplash)
アリッサム photo by Breanna Louise
クリムソンクローバー photo by ベサニー・ウォレス
ビオラ photo by katya-guseva0
パクチー photo by Сергей Корчанов