春ジャガイモの根出し方法と種イモの切り方、秋ジャガイモの芽出し方法を、それぞれご紹介いたします。
ジャガイモは、しだいに暖かくなる春と、だんだん寒くなってゆく秋とでは、芽を出す方法が異なります。
今回は、春と秋とで芽を出させるやり方が異なる理由、ジャガイモが発芽しやすい気温についてもご案内いたしますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
ジャガイモが発芽する気温について
※ image(Phote by Unsplash Gary Fultz)
ジャガイモがよく育つ適温は、12~23℃ほどの涼しい気候と言われており、30℃以上になりますと、生長が止まりますので芽を出さなくなります。
春ジャガイモの芽出しついて
photo by AC
春作のジャガイモは、寒いシーズン(一般地で2月~)に芽出しを行いますので、適度に日が当たる暖かい所に置いて発芽を促します。
秋ジャガイモの芽出しについて
※ わが家の秋作のジャガイモは、倉庫にて芽出しをします。
一方で、秋に植えるのジャガイモは、気温が高い夏に芽出しを始めますが(一般地で8月中旬~)、温度が30℃の環境では芽を出しません。
そこで、涼しい日陰の、温度が高すぎない所で芽出しを行います。
春ジャガイモの芽出し方法と種イモの切り方
調達した種イモを芽出しする方法と、前年の秋に収穫したジャガイモを種イモにする方法をご紹介いたします。
とくに後者はお手軽で、ご自宅に緑化して食べられないジャガイモや、芽が出て召し上がるのに気が引けるものがありましたら、お使いになってみてください。
1.調達した種イモを芽出しする方法と切り方
春ジャガイモの種イモを芽出しするステップ
種イモを植え付ける2~3週間前に芽出しをスタートします。
1.弱い光の当たる風通しの良いところで芽を出させます。
2.種イモが大きい場合、包丁で切ります。
3.種イモを切った場合、切り口を2~3日乾燥させます。
4.種イモを植え付けます。
1.弱い光の当たる風通しの良いところで芽を出させます
種イモを調達しましたら、弱い光の当たる風通しの良いところで芽を出させます。
これを、浴光催芽といいます。
2-1.種イモが大きい場合、包丁で切ります。
浴光催芽をした種イモです。
芽が2~5mmほど伸びてきました。
ジャガイモの登頂部分に出る芽を頂芽(ちょうが)といいます。この芽が最も大きくなります。
春ジャガイモは、40~60グラム程度のものがよく育つと言われていますので、種イモが大きい場合は包丁で切り分けます。
なお、種イモをカットするタイミングは、植え付ける3~4日前に行います。
2-2.まず、ヘソを切り落します。
種イモの芽が2~5mmほど伸び、植え付ける3~4日前に、ストロン(哺乳類でいうへその緒のようなもの)という親株とつながっていた「ヘソ」を切り落します。
このくぼみが「ストロン」で、頂芽の反対側(ひっくり返した側)にあります。
ストロンは、親ジャガイモが繋がっていたところです。
ヘソ(ストロン)を切り落すと、種ジャガイモの生育が良くなると言われています。
2-3.次に、種イモを縦に切ります。
次に、切り分けた種イモに芽が2~3個つくよう 縦に切り分け、1個あたり40~60グラム程度の種イモにします。
2-4.種ジャガイモを切る時のポイント
ジャガイモの導管はストロンから縦に伸びており、横に切りますと導管も一緒に切断されて萌芽しませんので、横に切らないようにします。
3.種イモを切った場合、切り口を2~3日乾燥させます
種イモを切り分けた場合、切り口から病原菌が感染しないよう、日陰で2~3日ほど乾燥させます。
すると、ジャガイモの断面にカルスという傷口をふさぐために増殖する ヒトでいうカサブタのような組織が作られます。
なお、切り口に草木灰を付けますと、日にちを置かず 直ちに植え付けることができます。
4.種イモを植え付けます
種イモを植え付けます。
2.前年に収穫したジャガイモを種イモにする場合
緑化したジャガイモ
前年収穫したジャガイモ
前のシーズンに収穫したジャガイモがある場合、種イモとして利用することができます。
緑化して食べられないジャガイモや、芽が出て食べるのに気が引けるものがありましたら、お使いになってみてください。
なお、緑化したジャガイモにはソラニン、チャコニンという毒素が含まれますが、種イモとして育てるのは問題はないと言われています。(参考サイト:ジャガイモ栽培.com)
緑化したジャガイモを植え付ける時のポイント
先にご紹介しました種イモと同じ手順で、芽出し処理を行います。
緑化したジャガイモが大きい場合は ヘソを切り、縦に切り分けて乾燥させてから、植え付けます。
私の経験ですが、家で貯蔵をしているジャガイモは、購入したイモより芽がよく伸びる傾向にあるようですので、芽を折らないよう気を付けて、植え付けております。
秋ジャガイモの芽出し方法
秋植えは、休眠期間が短い品種がおすすめ
秋植えのジャガイモは、春作より短い期間で栽培するため、はやく芽が出る品種、つまり休眠期間が短いものがおすすめです。
短い期間で栽培する理由は、霜や雪が降る前にイモを大きく育てておかないと、イモが凍結して傷み、食べられなくなってしまうからです。
秋ジャガイモにおすすめの品種
秋ジャガイモは、休眠期間が短い品種がおすすめです。
・インカのめざめ
・インカのひとみ
・デジマ
・アンデス赤(アンデスレッド)
・農林1号
・ながさき黄金 など
秋ジャガイモの栽培ポイントと芽出し方法
秋ジャガイモは丸ごと植え付けるのがポイント
秋ジャガイモを植え付ける時期は まだ気温が高いので、切った種イモを植え付けますと、腐る場合がありますので、種イモはカットしないで丸ごと植え付けます。
秋ジャガイモの種イモを芽出しするステップ
気温が高い夏の間は、ジャガイモの芽は出にくくなっていますので、芽が出やすくなる環境をつくります。
種イモを植え付ける2~3週間前にスタートします。
1.トレーなどに土を入れ、種イモを埋めます。
2.風通しのよい涼しい日陰・冷暗所に1を置きます。
3.芽が出てきたら、種イモを植え付けます。
1.トレーなどに土を入れ、種イモを埋めます。
2.風通しのよい涼しい日陰・冷暗所に1を置きます。
種イモに土を軽くかけます。
ジャガイモの生育適温は12~23℃ですので、それに近くなるような環境(風通しのよい涼しい日陰)で芽出しをします。
真っ暗な倉庫などで保管をしますと、徒長した芽(陽の光が足りず、ひょろひょろと伸びた芽)が出ることがあり、生育不良になる場合があります。
3.芽が出てきたら、種イモを植え付けます。
種イモの芽が出てきましたら、適期に植え付けます。
お住いの地域によって、植え付けの時期が異なりますが、一般地では9月頃に植え付け、霜が降りる前(11~12月)に収穫をします。
ご参考:ジャガイモ栽培の肥料について
基本的にジャガイモは、栄養が少ない土壌でも育ちます。
また、春ジャガイモの定植時期は地温が低く、肥料の効果があまり発揮されないと唱えておられる方もいらっしゃいます。
もし肥料を施す場合は、前の年の秋、もしくは 種イモを植え付ける4週間以上前までに、ボカシ肥などを土になじませておくか、ジャガイモを植え付けた株間に肥料を施します(置き肥)。
まとめ
※ わが家は、秋に収穫したジャガイモを春に植えます。
春作ジャガイモと、秋作ジャガイモの芽出し方法をご紹介いたしました。
ジャガイモは、しだいに暖かくなる春と、だんだん寒くなってゆく秋とでは、芽を出す方法が異なりますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
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