新暦6月(旧暦5月)の農事と自然暦

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6月(旧暦5月)の自然暦について、ご紹介いたします。

昔の農家さんは、花や植物の開花、落葉、鳥のさえずり、動物の行動や虫の鳴き声などを目安にして、野菜を育てていました。

現代でも、雨、風、雷などの天気、季節によって移りゆく草花の生長が、野菜づくりの指標となるものがありますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。

※ 掲載の画像はイメージです

6月(旧暦5月)の畑仕事

地域によって前後しますが、6月に行うおもな畑仕事をご紹介いたします。

二十四節気 時期 おもな畑仕事
芒種ぼうしゅ
6月5日頃
・ダイズ、アズキの種まき
・果菜類の整枝、摘心など
・除草、敷き藁の管理
入梅
6月10日頃
・葉物野菜、根菜の中耕・追肥
・梅の収穫
・サツマイモの中耕
夏至
6月21日頃
・ジャガイモの収穫・貯蔵
・タマネギの収穫・貯蔵
・キャベツ、ダイコン、ニンジン、葉物野菜の収穫

※地域によって前後します。(参考文献 久保田豊和著「新版 暦に学ぶ野菜づくりの知恵 畑仕事の十二ヵ月」)

6月(旧暦5月)の伝承農法と自然暦

皐月(さつき)・五月雨月(さみだれつき)・早苗月(さなえつき)

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新暦の6月(旧暦5月)は、各地域で梅雨が始まります。

旧暦ではこの月を、「皐月」「五月雨月」「早苗月」と呼びます。

その名のとおり、皐月(さつき)が咲く月、五月雨月(さみだれつき)、田植えが始まる早苗月(さなえつき)です。

夏野菜の収穫は、「アジサイの開花」が合図

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昔の農家さんは、紫陽花(アジサイ)の花が咲くのを合図として、夏野菜の収穫を始めたと言われています。

梅雨のこの時期に気を付けたい点は、野菜の病気です。

野菜は、空気中に浮遊している菌・胞子や、蚊・アブラムシなどの害虫が細菌を媒介して病気になることがあります。

とくに雨上がりの農作業は、泥の跳ね返りで野菜が病気にかかる場合がありますので、雨が降った当日は、できるだけ野菜に触らないほうが良いと伝えられています。

また、ハサミや支柱などに付着したウイルスなどによって病気が発生する場合がありますので、例えば キュウリの収穫を行った後、ハサミを洗って次にトマトを収穫するなど、道具はこまめに水洗いをします。

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ねむの花、百合の花が咲く頃、大根の種をまく

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※ ねむの花

マメ科のねむの木の花が咲く時期は、ちょうど梅雨にあたります。

昔の農家さんは、このころにダイコンの種をまいていたと言われています。

ダイコンの種は、雨をたっぷり吸った土の中で発芽しやすくなり、大きく育ちやすくなります。

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※ 百合の花

ねむの木や百合の花が咲く時期は、ちょうど梅雨に重なりますので、春の種まきを逃してしまわれた方は、このタイミングにダイコンの種をまいてみられてはいかがでしょうか。

主人の足音は肥料より効く

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雑草、病気、害虫が発生しやすい梅雨の時期は、とくに農作業がなくても、一日一度は野良まわりをすれば、野菜はよく育ちます、という諺です。

百の肥やしより、一時の旬

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「百の肥やしより、一時の春」

この諺は、肥料を多量に施すより、野菜の手当は適期に行いましょうという意味です。

雨降りが続くこの時期、特別な作業を行うことはできませんが、雨の合間をみて、ツルの誘引や草の整理、清潔なハサミを使って野菜を収穫しましょう。

大豆の種まき

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その昔、大豆の種をまく時期は、ちょうど梅雨の頃を目安にしている農家さんが多かったようです。

各地域の、自然に基づいた種まきにまつわる口伝を、一部ですがご案内いたします。

いずれの地方でも、草花の生長を目安に 種をまいていたことが分かります。

福岡県(久留米市・宗像市)

202「柿の若葉に大豆粒が一杯になる頃 大豆を蒔かにゃならぬ。」

203「柿の若葉が夏大豆を三粒載せ得る頃は その種蒔き時である。」

204「柿の芽が出始めたから大豆を蒔かねばならぬ。」

引用 川口孫治郎著「自然暦」43頁

青森県下北郡

205 桐の花咲く頃に豆を蒔け。

引用 川口孫治郎著「自然暦」43頁

傾山のふもと(大分県・宮崎県)

206 ハチクがぬけたら大豆を撒け

引用 川口孫治郎著「自然暦」43頁

牛蒡(ごぼう)の種まき

長崎県平戸島

209 柿の葉の二つ葉が出る頃 牛蒡の蒔き時である

引用 川口孫治郎著「自然暦」44頁

サツマイモ蔓の植え付け

三重県志摩市(賢島)

211 イチゴが咲いたら甘藷蔓を植えねばならぬ。

引用 川口孫治郎著「自然暦」44頁

まとめ

6月の自然暦について、ご紹介いたしました。

昔の農家さんは、花や植物の開花、落葉、鳥のさえずり、動物の行動や虫の鳴き声などを目安にして、野菜を育てていました。

現代でも、雨、風、雷などの天気、季節によって移りゆく草花の生長が、野菜づくりの指標となるものがありますので、ご参考にしていただきましたら幸いです

[参考文献]

・川口孫治郎著「自然暦」(発行:八坂書房)

・審判 暦に学ぶ野菜づくりの知恵 畑仕事の十二カ月(発行:家の光協会)

・やさい畑2018年冬号(発行:家の光協会)

この記事を書いた人
ベジルナ

関東在住の主婦です。
江戸時代から伝わる農薬や化学肥料を使わない野菜の栽培法、旧暦、自然暦、季節の作物を使ったレシピ、おすすめしたい書籍などをご紹介しております。

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