旧暦3月|二十四節気と七十二候

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旧暦3月の、二十四節気と七十二候について、ご案内いたします。

旧暦の3月は弥生(やよい)といい、今の4月にあたります。

花がたくさん咲き始める4月は、春たけなわではありますが、桜が散るのもこの頃で、暦の上では晩春にあたります。

二十四節気、七十二候を意識してみますと、季節の移ろいを感じることが出来ると思いますので、ご参考になさってみてください。

※ 掲載画像はイメージです

旧暦3月について

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夢見月(ゆめみづき)・春惜月(はるおしみづき)

旧暦の3月は 弥生(やよい)といいますが、そのほかに、「夢見月」「春惜月」とも呼ばれます。

夢見月(ゆめみづき)

夢見月は、この月の異名です。

ちなみに、桜のことを 夢見草(ゆめみぐさ)といいます。

昔の人は、桜は夢のように はかなく散ってゆくものと考えていたようです。

春惜月(はるおしみつき)

春惜月(はるおしみつき)も、この月の異名です。

待ち焦がれていた春は、短く感じられますね。

春の終わりを惜しむ気持ちは、先人も私たちも同じですね。

旧暦3月|二十四節気と七十二候

この章では、旧暦3月の二十四節気と、七十二候をご紹介いたします。

時系列にご案内いたしますので、それぞれ混合しております。

二十四節気「清明(せいめい)」 (新暦4月5日頃)

すべての命が、いきいきと輝きだす季節になったという意味で、芽生えた草木が、それぞれの名前がわかるほどに、個性を発揮する時期です。

万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草と知れるなり

引用「暦便覧(江戸時代の暦の解説書)」

清浄明潔の意味は、清らかで明るいことで、二十四節気の清明は、この清浄明潔を略したものと言われています。

七十二候 第十三候「玄鳥至」 (つばめきたる_新暦4月5日~4月9日頃)

ツバメが渡ってくる時期です。

燕_つばめ

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南の国で冬を過ごした燕が帰ってくる頃で、昔は燕が巣を作った家は栄えると信じられていましたので、昔の人は燕を歓迎していたと言われています。

「玄鳥至」の「玄」は、黒を表し、黒い背中と白く丸いお腹の燕を指していたようで、夜のもっとも格式高い装いの燕尾服は、その名のとおり、燕からとったものです。

なお、燕は日本で生まれて育ちますので、この季節に燕を見かけたら「おかえりなさい」という思いで、観察してみてくださいね。

蓮華草_れんげそう

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昔は、春の田んぼにピンク色の蓮華草がたくさん咲いていたのだそうです。

マメ科のレンゲソウは、根に根粒菌を共生し、土を肥沃で良質なものに変えますので、昔の農家さんは 盛んに蓮華草を植えていました。

なお、蓮華草の「蓮華」は、蓮の花のことです。

花が開いた姿は小さな蓮の花のようですね。

花祭_はなまつり

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旧暦の4月8日は、お釈迦様の誕生日で、灌仏会(かんぶつえ)、仏生会(ぶっしょうえ)などと呼ばれ、古くからお祝いの行事が行われていました。

江戸時代には、さまざまな花を飾った花御堂(はなみどう)にかわいらしい誕生仏をまつり、茶の湯をそそぐようになりました。

この行事は、「花祭」と呼ばれるようになり、現代でも多くの寺院で そのままの日付で受け継がれています。

月桂樹_げっけいじゅ

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料理でお馴染みのローリエは、明治時代にフランスから渡来して、「月桂樹」という名が付けられました。

名の由来は、月のように香りのよい桂の木という 中国の伝説にちなみ、命名されたのだそうです。

月桂樹は古くから存在する樹木で、古代ギリシャ時代では 葉のついた枝で作った冠(月桂冠)は、勝利者に贈られる栄冠でした。

月桂樹は、雌雄異株(しゆういしゅ=雌株と雄株が別にある植物)で、それぞれこの時期に開花します。

七十二候 第十四候「鴻雁北」 (こうがんかえる_新暦4月10日~4月14日頃)

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昨年の秋に飛来した雁が、北のシベリアへ帰ってゆく時期です。

鳥曇_とりぐもり

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冬鳥の雁は、秋に日本に飛来し、暖かくなると北の地方へ帰ります。

今では、一部の地域でしか見られなくなってしまいましたが、昔は日本のいたる所で、見ることができたのだそうです。

昔の子どもたちは、「棹(さお)になれ、鉤(かぎ)になれ、鉤形にならべ」と、はやし立てて雁を見送ったと言われています。

この時期の曇り空を、「鳥雲」といいます。

お別れの季節にふさわしい空といえるかもしれませんね。

雛菊_ひなぎく

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西ヨーロッパが原産の雛菊ひなぎく(デージー)は、明治の初め頃に日本に渡来したと言われています。

雛菊の”雛”は、小さな可愛らしいものを表す言葉で、鳥の雛からきています。

また雛菊には、延命菊(えんめいぎく)、長命菊(ちょうめいぎく)という異名もあり、花の時期が長いことから付けられたのだそうです。

小手毬_こでまり

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小手毬は、白く小さな花が 手毬のようにかたまり、枝垂れた枝に品よく花が付き、生け花などにも使われます。

一方で、早春に咲く雪柳は、小手毬とは対照的に枝に雪が降り積もるように花が咲きます。

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ひとつひとつの花はどちらもよく似ていますが、咲き方で印象がちがいますので、ご覧になってみてください。

日永_ひなが

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日永(ひなが)は、春の季語です。

日が長くなったことを、つくづく感じるのは、この時期ではないでしょうか。

ちなみに、短夜(みじかよ)は 夏の季語、夜長(よなが)は秋の季語、そして冬は短日(たんじつ)です。

七十二候 第十五候「虹始見」 (にじはじめてあらわる_新暦4月15日~4月19日頃)

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雨上がりに虹が出始める時期です。

雨上がり、朝は西、夕方は東に虹が見えます。

初虹_はつにじ

その年、初めて見える虹を「初虹」といいます。

雨が多く、雨粒も大きい夏は 虹がよく見られますが、春の虹はまだ淡く、すぐに消えてしまいます。

花水木_はなみずき

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花水木は、1912年、当時の東京市がワシントンに桜を寄贈したお返しに贈られたという歴史があります。

在来種の山法師に似ていたため、日本にきた当時は、「アメリカ山法師」と呼ばれていました。

桜の花と入れ替わるように咲き始める花水木は、白や薄紅色の花びらに見えるものは、総苞(そうほう)と呼ばれる部分で、その中心に集まっている黄緑色のつぶつぶが本当の花なのだそうです。

浅黄推薦_あさぎすいせん

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この時期に花が咲き始めるフリージアは、幕末に日本に伝わりました。

当時は、黄色い花を水仙に見立てて「浅黄推薦」という名がつきました。

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またフリージアは、香雪蘭(こうせつらん)という和名も持っています。

花の形だけでなく、香りがよいことも、水仙や蘭と共通していますね。

栄螺_さざえ

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フタがなかなかこじ開けられないサザエは、「頑固者」の形容に使われていたという説があります。

栄螺の語源は、いろいろな説があるようですが、中でも小家(ささえ)だとする説が有力なのだそうです。

春雨_はるさめ

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この時期、年によっては ぐずつくお天気になることがあります。

春の雨は、しとしと降るやさしい雨のイメージです。

春霖_しゅんりん 霖は「ながあめ」と読みます。三日以上降り続く長雨を春霖といいます。
春時雨_はるしぐれ 降ったりやんだりする雨のことです

二十四節気「穀雨」 (こくう_新暦4月20日頃)

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田んぼや畑の準備が整いますと、やさしい春の雨が降り出します。

穀雨とは、百穀(ひゃっこく)の生長を助ける雨のことをいいます。

百穀_ひゃっこく

百穀とは、数多くの穀物のことです。

ヒトが主食としてきた、米、粟(あわ)、稗(ひえ)、黍(きび)、豆などの類をいいます。

七十二候 第十六候「葦始生」 (あしはじめてしょうず_新暦4月20日~4月24日頃)

水辺に葦(あし)が芽を出す頃です。

葦芽・葦牙_あしかび

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「あし」は「悪し」で、縁起が悪いため、「善し(よし)」と呼ぶ地域もあります。

葦芽(あしかび)の「かび」は、植物の芽や穂先などの、細くて鋭い突き出たものを表す言葉です。

葦の新芽は、水面から角の様な尖った芽が出てきますので、このように呼ばれていたのだそうです。

葦芽は、そのほかに、葦角(あしづの)、葦の錐(あしのきり)などと呼ぶこともあります。

若鮎_わかあゆ

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古くは、占いに使われていた魚だったことから「鮎」と書いて、あゆと読ませるようになったのだそうです。

鮎は、さまざまな異名があり、独特の香りをもつことから「香魚」、ほとんどの鮎は一年で生涯を終わらせますので「年魚(ねんぎょ)」とも呼ばれます。

鮎は、秋に川の下流で生まれ、海で成長します。そして、春に川に遡ってゆきます。この頃の鮎は、「上り鮎」「若鮎」と呼ばれます。

そして夏の間は、川の上流で過ごし、秋になると、産卵のために川を下ります。この頃の鮎は、「落鮎」「下り鮎」と呼ばれます。

なお、若鮎の時期に、鮎を象った生地に目とヒレの焼き印を付けた「若鮎」という和菓子がでます。

中の餡は、地域によって異なるようで、名古屋では味噌餡、関西方面は求肥が入ったものなどがあります。

明日葉_あしたば

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この季節、明日葉が旺盛に生えてきます。

今日摘んでも、明日にはまた芽が出てくることから「明日葉」という名前が付いたといわれています。

春の植物は、とても生命力ががあることが分かりますね。

真珠星_しんじゅぼし

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真珠星は、おとめ座の一等星「スピカ」の和名です。

スピカは麦の穂のことで、農耕の女神の象徴だったといわれています。

白く清楚な輝きを放つことから、日本では「真珠星」と呼ばれていました。

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なお、真珠星のお相手は、麦星と呼ばれる牛飼い座のアルクトゥルスで、麦の借り入れの頃、頭上に輝く星のため、この名が付いたのだそうです。

春の宵から真珠星と並んで空にのぼってきますので、真珠星と麦星は「春の夫婦星(はるのめおとぼし)」と、呼ばれています。

雲丹_うに

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ウニの旬は夏といわれていますが、歳時記では春の季語になります。

雲丹の「丹(に)」は、赤土を意味し、雲のような赤いものということのようです。

ウニは ほかにも、「海丹」「海胆」「海栗」など、さまざまな表記があり、おもしろいですね。

まとめ

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旧暦3月の、二十四節気と七十二候について、お伝えいたしました。

二十四節気、七十二候を意識してみますと、季節の移ろいを感じることが出来ると思いますので、ご参考になさってみてください。

[参考文献]

山下景子著「二十四節気と七十二候の季節手帖」

[画像提供]

・花水木 shell_ghostcage

・フリージア(白)Buntysmum

 

この記事を書いた人
ベジルナ

関東在住の主婦です。
江戸時代から伝わる農薬や化学肥料を使わない野菜の栽培法、旧暦、自然暦、季節の作物を使ったレシピ、おすすめしたい書籍などをご紹介しております。

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