エンドウ(絹さや)、ソラマメの防寒対策について、ご紹介いたします。
昔、今のような保温シートや寒冷紗などの資材がなかった時代、その頃の農家さんは、寒さから守る対策として「植物」を使い、冬越しの工夫をしていたと言われています。
先人の知恵を使った防寒対策は、今でも役立ち、応用することが出来ますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
エンドウ(絹さや)・ソラマメの防寒対策|植物を使って冬越しする伝承農法
※ カリフラワーとソラマメ
保温シートや寒冷紗などの資材がなかった時代、昔の農家さんは エンドウ(絹さや)やソラマメの幼苗(まだ小さい苗)を寒風から守るために、植物や野菜を上手に使っていたと言われています。
笹を利用した防寒対策
エンドウやソラマメの寒さ対策として、「笹」を使った方法があります。
これは、笹が手に入れば 手軽に取り組める効果的な防寒対策で、現在でもよく行われている方法です。
手順1「笹を支える位置」
エンドウやソラマメの周りに、20~30cmの笹の枝を挿します。このとき、風の吹く方向(風上側)に笹を立てるのがポイントです。
手順2「両側に笹を立てる」
片側のみでなく、エンドウやソラマメの両側笹を立てると効果的です。これにより、寒風からの保護がより強化されます。
アブラナ科などの冬野菜で防寒対策
秋に植えるアブラナ科野菜の野菜と一緒に、エンドウ・ソラマメを育てる方法です。
アブラナ科の野菜は背が高くなりますので、寒風からエンドウ・ソラマメを守ります。
ムギを利用した防寒対策
エンドウ・ソラマメの両側にムギの種をまいて、防寒対策することもできます。
秋にまくムギは、冬の間は低い背丈ですが、こんもりした緑の縁をつくり、地表の風向きを変えると同時に、エンドウ・ソラマメが凍らないように保護する効果があります。
ムギの種まき時期(一般地)
条間 | ムギとムギの距離は、60cmほど | |
種まき時期 | オオムギ | 10月中旬~下旬 |
コムギ | 11月上旬~中旬 | |
エンバク | 12月上旬まで |
ムギの種まきのコツ
・早い時期にムギの種をまくと、分げつが進み、苗が密集してしまう可能性がありますので、少なめに種をまきます。
なお、遅い時期に種をまく場合は、多めにまきます。
「分げつ」とは
イネ科作物の枝分かれのことを「分げつ」といいます。 最初から数えて4枚目の葉(4葉)がでると同時に、1葉のつけ根の節から枝分かれして、最初の分げつがでます。
引用 MAFF(農林水産省ページ)
ムギは緑肥として使えます
翌年の春、育ったムギを、緑肥として使うことができます。
緑肥は、土壌を改善して、微生物の活動を促進することで、野菜の生長をサポートする植物です。
ムギを畑に残すことで、次の野菜作りに良い結果をもたらすことが期待できます。
ムギ(緑肥)の使い方
- 収穫前の大麦を残します: ムギが生長し、まだ穂ができる前に、野菜を植えている畝や畑にそのまま残します。
- マルチになります: ムギを畑に敷き詰るとマルチの代わりになります。ムギは、出来るだけ均等に土を覆い隠します。
- 耕すか、そのままにします: ムギを畑に敷いたら、耕して土に混ぜ込むか、そのまま放置します。土に鋤き込むと、ムギが分解されて土壌を改良します。
- 栄養分の供給: ムギが土に分解される過程で、栄養分が土壌に戻ります。これにより、土壌が豊かになり、野菜が健康に生長できるようになります。
ご参考:風の通り道を読む
昔の農家さんは、野菜を栽培するときは、「風の通り道」を読んで、霜柱が立ちにくい場所を選んでいたと言われています。
農学者の木嶋利男博士も、野菜を育てる際は、「風の通り道」を読んでみましょうと、著書にて紹介されています。
風の通り道は、空気が絶えず動いている場所で、そこでは意外なほど霜柱が立たないのだそうです。
一方で、霜柱が立ちやすく、冷害が起きやすい場所は、冷たい空気がよどんで溜まる場所なのだそうです。
風の通り道の周りには、冷たい風のよどむ「霜だまり」や、霜柱が連なる「霜道」ができることがあり、これらの場所は、寒気があたり、野菜にとっては適さないことがあります。
昔の農家さんのように 私たちも、身体で感じながら 霜柱が立ちにくい場所「風の通り道」がわかるようになってゆきたいですね。
まとめ
エンドウ(絹さや)、ソラマメの防寒対策について、ご紹介いたしました。
保温シートや寒冷紗などの資材がなかった時代の農家さんは、植物を使って冬越しをしていました。
先人が行っていた防寒対策は、現在も応用することが出来ますので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
[参考文献]
木嶋利男著「昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ」