※トウモロコシを食害する蛾の幼虫
夏野菜の代表格ともいえるトウモロコシ。
美味しいですね。
今回は、トウモロコシに付きやすい害虫「アワノメイガ」を、無農薬で対処する方法をご紹介いたします。
アワノメイガについて
蛾(ガ)の仲間
アワノメイガは蛾の仲間で、成虫はトウモロコシの葉・茎に卵を産み付けます。
※ 蛾の幼虫に食害されたトウモロコシ
孵化した幼虫は、トウモロコシの茎に小さな穴をあけて中に入り込み、実を食害します。
なお、メイガはメイガ科の総称で、エンドウやダイズなどを食害する「シロイチモンジマダラメイガ」、針葉樹である松を食害する「マツノマダラメイガ」など、日本だけでも600種以上いると言われています。
アワノメイガの発生時期
アワノメイガは6月~8月に発生し、この間に3回ピークがくると言われています。
アワノメイガの見つけ方
アワノメイガの幼虫は、トウモロコシの茎の中に侵入し実を食害すると、侵入した穴から糞を出しますので、比較的 容易に見つけることができます。
トウモロコシにアワノメイガが付く理由
アワノメイガは、トウモロコシの花粉に誘引される性質があるそうです。
トウモロコシに雄穂が伸びる頃、被害が出るのはこのためです。
アワノメイガが付きやすい野菜
アワノメイガは トウモロコシのほかに、生姜や茗荷に付くこともあります。
無農薬で対処したい!トウモロコシのアワノメイガ対策
アワノメイガ対策1_雄穂を切り取る方法
1つ目のアワノメイガ対策は、雄花を切り取る方法です。
アワノメイガは 雄花のにおいに誘引されますので、雄穂を切ることで近寄らなくなります。
しかしながら、トウモロコシは風媒花(風を介して受粉が行われるイネ類)ですので、雄花がありませんと受粉されず 実が付かなくなってしまいます。
そこで、次のように対処なさってみてください。
対処法1 | トウモロコシ10本中、1本の割合で雄穂を残し、実のヒゲが出揃ったら切り取ります。 |
対処法2 | 雄穂が開花したら その都度切り取り、ほかのトウモロコシの株※1の実のヒゲにパタパタと人工受粉をしてゆきます。 |
わが家は、対処法2を行っております。
※1 トウモロコシは他の株の花粉をもらって受粉します(=他家受粉)
アワノメイガ対策2_コンパニオンプランツプランツ栽培
※ 毎年、トウモロコシとエダマメの混植をしております。
2つ目の対策は、コンパニオンプランツ栽培です。
マメ科の作物は、アワノメイガを忌避する効果があると言われていますので、トウモロコシとマメ科の作物を混植(コンパニオンプランツ栽培)します。
※ トウモロコシとツルアリインゲンのコンパニオンプランツ栽培
農学者の木嶋利男博士は、つるありインゲンはエダマメとの混植より高い忌避効果を得られると紹介されています。
作物 | コンパニオンプランツ栽培のポイント |
エダマメ つるなしインゲン |
同じ時期に トウモロコシとエダマメの種をまいて育てます。 |
つるありインゲン | トウモロコシを先に育てます。本葉3枚になったら株元につるありインゲンの種をまきます。同時に播種すると、トウモロコシの生育を妨げてしまう場合があります。インゲンの伸びたツルを、トウモロコシに巻き付けて育てるのがポイントです。 |
アワノメイガ対策3_栽培期間をずらす方法
3つ目の対策は、トウモロコシの種を 早まき・遅まきにして、雄穂の開花時期とアワノメイガの飛来時期を重ならないようにする方法です。
木嶋博士は、11月に糖度の高いトウモロコシを収穫することができる遅まきをおすすめされています。
早まきの場合 | 遅まきの場合 |
3月中旬に育苗、4月中旬に定植します |
7月下旬~8月上旬に種をまきます。 |
※ 地域によって前後します
アワノメイガを見つけた時の対処法
※ 画像は蛾の幼虫です
アワノメイガの糞を見つけましたら、トウモロコシの茎の中に入っている可能性が高いので、茎を切って見つけ次第 補殺します。
アワノメイガは茎のかなり下のほうまで食害しますので、チョキチョキと茎を切って見つけてみてください。
なお 木嶋博士は、アワノメイガの一部を潰して葉の上に置いておくと、昆虫寄生菌が増えて畑に広がると紹介されています。
昆虫寄生菌は、生きた虫(アワノメイガ)を好んで食し、寄生された虫は養分を吸い取られて死滅します。
この対処法は アワノメイガだけでなく、モンシロチョウの幼虫、コナガの幼虫、タバコガの幼虫などの「イモムシ系」に効果があり、畑に広がる昆虫寄生菌によって、虫の被害が減ってゆく効果があると言われています。
まとめ
トウモロコシのアワノメイガ対策について、ご紹介いたしました。
本件につきましては、「木嶋利男著「農薬に頼らない病虫害対策 (学研ムック 学研趣味の菜園)」を参考にして、ご案内いたしました。