人参を ほぼ年中収穫できる伝承農法について、ご紹介いたします。
野菜の種は、病害虫の発生を防ぐため、適した時期にまくのが鉄則ですが、中には例外があり、人参がそれに当たります。
種をまくチャンスは年に4回ありますので、ご参考にしていただければ幸いです。
人参の種まき時期について
伝承農法「人参の種まき」
昔の農家さんは、日の長さ・短さをうまく利用して、春まきの人参と秋まきの人参とを作り分けていたと言われています。
春まき人参の特徴
春まきの人参は、茎葉が上向きに伸びて、株立ち気味にそだちます。
生長は早く、根(食べる部分)はやや細くなります。
なお、この時期の人参は肩の部分が地表に出やすく 日光で緑色になるため、土寄せ必要になります。
秋まき人参の特徴
秋分の日を過ぎた頃、本葉が出始めた人参は、茎葉が胚軸を中心にロゼット状(放射状)に広がり、草丈が低く、根は太く育ち、土寄せは特に行いません。
秋冬の人参は、氷点下でも凍らないように糖分などの栄養を多く蓄えますので、甘く美味しくなります。
昔農家さんの知恵
人参の育ち方の違いは、双葉が開いて本葉が出始めた頃の光が当たる時間の長さによります。
昔の農家さんは、季節によって人参の育ち方が変わることを熟知しており、秋分の日が過ぎた頃、昼の時間が夜よりも短くなる「短日条件」で、栽培方法を変えて作り分けていたのだそうです。
チャンスは年に4回「人参の種まき時期」
人参は、春まき・秋まきが一般的ですが、時期をずらして種をまきますと、ほぼ一年中収穫することが出来ます。
―人参のまき時―
種まき時期 収穫時期 春 3月中旬
~4月下旬7月上旬
~8月中旬初夏 6月下旬
~7月中旬9月下旬
~11月上旬夏 7月下旬
~8月下旬10月中旬
~12月下旬秋 9月中旬~下旬 12月中旬
~3月中旬[参考文献]木嶋利男著「昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ」
※ 種まきの時期は一般地にてご案内しております。
1.春まき
種のまき時
3月中旬~4月下旬
収穫の時期
7月上旬~8月中旬
春まきの栽培ポイント
人参の種は、トウが立ちにくい品種を選びます。
不織布などをベタがけしたり、トンネル栽培で、より前倒しのスタートも可能です。
2.初夏まき
種のまき時
6月下旬~7月中旬
収穫の時期
9月下旬~11月上旬
初夏まきの栽培ポイント
貴重な秋の人参を収穫することが出来ます。
梅雨のさなかに種まきしますので、発芽しやすいメリットがありますが、この時期は病害虫の発生が多いので、注意が必要な場合があります。
3.夏まき
種のまき時
7月下旬~8月中旬
収穫の時期
10月中旬~12月下旬
夏まきの栽培ポイント
気温が高く乾燥が続きますので、なかなか発芽しない時期ですが、まき直しが可能です。
夏まきは、お盆を過ぎた雨が多くなる頃が発芽しやすくなります。
気温が低くなると人参は甘みが増して美味しくなりますが、長い期間置くと裂根する場合があります。
4.秋まき
種のまき時
9月中旬~下旬
収穫の時期
12月中旬~3月中旬
秋まきの栽培ポイント
人参の本葉の出始めが 秋分の日を過ぎると、ロゼット状になります。
冬の寒さで葉は傷みますが、甘く美味しい人参に育ち、ジュースにもむきます。
トウ立ちが始まる前に掘り上げるのがポイントです。
確実に発芽させたい人参の種まきの伝承農法
人参の種は、なかなか発芽しないことがあり、幾度もまき直しをされている方もいらっしゃると思います。
人参の種は好光性種子ですので、少なめに覆土するのがポイントです。
また、昔の農家さんは、人参の種をまいて土を薄く覆った後、草鞋で踏み固めていました。
種と土をしっかり密着させることで、発芽率が上がりますので、おためしになってみてください。
まとめ
人参をほぼ年中収穫できる伝承農法について、ご紹介いたしました。
日の長さと短さを熟知していた昔の農家さんは、季節によって人参の栽培方法を変えていたと言われています。
人参の種をまく時期(チャンス)は4回あり、うまくいきますとほぼ年中収穫することが出来ますので、ご参考にしていただければ幸いです。
[参考文献]
木嶋利男著「昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ」
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