今回ご紹介するホウレンソウの種まきは、たっぷり収穫できる春まき、甘さと美味しさが増す秋まきの2つの方法です。
野菜は、病害虫の発生を少なくするために、適期に種をまいて育てるのが一般的ですが、なかには例外もあり、ホウレンソウやニンジンがそれにあたります。
日の長さ・短さを熟知していた昔の農家さんは、ある日を境にホウレンソウの栽培法を変え、作り分けていたと言われています。
種まきの時期をずらしてホウレンソウを美味しく収穫する伝承農法は、今でも応用できる栽培ですので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
ホウレンソウの種まき|時期をずらして美味しく収穫する伝承農法
季節で変わるホウレンソウの育ち方
ホレンソウは、春まき・秋まきで、育ち方が変わります。
春まきのホウレンソウ
春に種をまいたホウレンソウは、茎葉が上に立ちあがって伸び、葉が大きくなります。
また、生長も早く、密植栽培が可能ですので、収穫量もアップします。
秋まきのホウレンソウ
一方で、秋に種をまいたホウレンソウは、茎葉は地表を覆うようなロゼット状(放射状)に広がります。
茎は短めで、葉は厚くなり、霜に当たると甘さが凝縮され美味しいホウレンソウに育ちます。
伝承農法「ホウレンソウの種まきの時期をずらす栽培」
昔の農家さんは、日の長さ・短さによって、ホウレンソウの育ち方・収穫量・美味しさなどが変わることを知っていました。
霜にあたると甘く美味しくなる「寒締めのホウレンソウ」を育てる場合は、地域によって前後しますが、9月10日以降に種をまき、作り分けていたと言われています。
春まき(通常のホウレンソウ)の栽培ポイント
9月10日より前に種をまきますと、茎葉が元気よく上に向かて伸びて育ちます。
種は1~1.5cm間隔でまき、2回ほど間引いて株間を6~8cmにします。
早く育ちますので、密植栽培も可能で、収穫量もアップします。
秋まき(寒締めホウレンソウ)の栽培ポイント
9月10日より後に種をまきますと、ホウレンソウの茎葉は地表を覆うようにロゼット状(放射状)に広がり、茎は短めで葉は厚くなります。
種は1~1.5cm間隔でまき、3回ほど間引いて12cmまで広げ、隣の葉との重なりを防ぎます。
なお、秋まきホウレンソウは 栽培期間が長くなりますので、必要であれば追肥をして葉が黄色くなるのを防ぎます。
霜に当たらせますと、甘味が増して美味しくなります。
春まき・秋まきの共通ポイント
土づくりは、元肥をやや多めに施します。また、苦土石灰などで 酸度を調整します。
農学博士である木嶋利男氏によりますと、ホウレンソウは、近くの種と助け合いながら根を深く伸ばす性質があるそうですので、種をまく際、まき溝を平らにならして、いっせいに発芽させるのがコツです。
すると、病害虫に強い、丈夫な株に育ちます。
まとめ
種まきの時期をずらして育てる、ホウレンソウの伝承農法について、ご紹介いたしました。
地域によって前後しますが、昔の農家さんは日の長さと短さが変わり始める9月10日頃を境に、ホウレンソウ栽培を通常型と越冬型とに変えて育てていたと言われています。
この育て方は、今でも応用できる栽培ですので、ご参考にしていただきましたら幸いです。
[参考文献]
木嶋利男著「昔農家に教わる 野菜づくりの知恵とワザ」
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