じゃがいもの芽を、挿し芽にして栽培する方法を、ご紹介いたします。
じゃがいもは、一般的に 種イモを植えて栽培しますが、今回ご紹介する方法は、種イモから出た芽を、土に挿し芽(挿し木)をして育ててゆきます。
この栽培は、文久元年(1861年)に出版された「無水岡田開闢法」に記されれている伝承農法で、現代でも応用することができます。
「じゃがいもの挿し芽栽培」江戸時代の伝承農法
一般的なじゃがいも栽培
現在のじゃがいも栽培は、 種イモを植えて育てるのが一般的ですね。
植え付けた種イモは、1か月ほどで4~6本芽を出します。
すべての芽をそのまま育てますと、イモが小さくなりますので、芽かきをし、丈夫そうなものを2~3本残して育てます。
そして、葉茎が枯れたらイモを収穫します。
江戸時代の伝承農法「じゃがいもの挿し芽栽培」
じゃがいもから出た芽を挿し芽にして栽培する方法は、江戸時代から伝わる農法で、「無水岡田開闢法」という書物(文久元年=1861年)に記されています。
早春、畑に苗床をこしらへ、糞(こえ)を多く施して、種薯(たねいも)を植える。
芽が出て六、七寸に伸びたとき抜き取り、別の畑に畝を作り移植する。
二、三寸ずつ間をおき、一本ずつ植えれば、種薯の不足をも補うことができる。
引用 岡田明義著「「無水岡田開闢法」」(文久元年)
じゃがいもの挿し芽栽培のメリット
じゃがいもの挿し芽栽培のデメリット
じゃがいもの芽を挿し芽にして栽培する方法
準備するもの
・種イモ(半分にカットしたものでOKです)
・プランター、3~3.5号のポリポット
・不織布など、寒さ対策のシート
芽出しの時期
梅の花が咲く、2月下旬頃が適期です。
じゃがいもの種イモ挿し芽栽培
1.種イモを植え付けます
プランターやポリポットに土を入れ、半分に切った種イモの切り口を下にして植え付けます。
2.寒さ対策をします
この時期はまだ寒いので、不織布などをかけて防寒対策をします。ポリポットで育てる場合は、暖かいところに置いて育苗しても構いません。
3.畑の準備をします。
通常のジャガイモ栽培は無肥料でも構いませんが、挿し芽栽培は自分で養分を集めて育ちますので、植え付けの2~3週間前にボカシ肥を施しておきます。
4.密植で栽培します
種イモから出た芽の長さが10~15cmほどになりましたら、芽かきをして植え付けます。この時、根を付けたまま抜き取るのがポイントです。
通常のじゃがいも栽培は、30cmほど株間をとりますが、挿し芽栽培は、株間10cmで植え付けます。
応用編「じゃがいもの挿し芽栽培」
「芽かき」したじゃがいもを、挿し木に使います
通常のじゃがいも栽培で、芽かきしたものを 別の場所に植え付ける(挿し木にする)こともできます。
芽をかいたものは、根が付いておらず活着に時間がかかりますので、収量はやや減りますが、空いている畑のスペースを有効に利用することができます。
※ わが家は、畑の隅で 挿し芽栽培を行っております。
連作障害に気を付けて
じゃがいもの脇芽は、お手軽に挿し木にすることができます。
しかしながら、毎年同じ場所で栽培し続けますと、病気にかかりやすくなったり、生育不良になったりすることがあります。
連作障害の対策としては、じゃがいもとネギを交互に栽培する方法があります。
この交互連作は、自然農法家 高内 実さんが、成果をあげられています。
まとめ
江戸時代の伝承農法「じゃがいもの挿し芽栽培」を、ご紹介いたしました。
この栽培は、文久元年(1861年)に出版された「無水岡田開闢法」に記されれている育て方です。
現在でも応用することが出来ますので、ご参考にしていただけましたら幸いです。
[出典]岡田明義著「無水岡田開闢法」
[参考文献]木嶋利男著「伝承農法を活かす 野菜の植えつけと種まきの裏ワザ」